コンセプトを新たに再スタートする「アサヒ ラボ・ガーデン」

[施設紹介]
アサヒグループホールディングス

大阪駅からほど近い場所にあるコミュニケーションスペース「アサヒ ラボ・ガーデン」が、4月からコンセプトを刷新して再スタートを切る。新たなコンセプトは、「社会と、育つ。」社内と社外、それぞれの立場からリニューアルに携わった2人の担当者に、そこに込めた思いを語ってもらった。

アサヒグループホールディングス(株)広報部門兼研究開発部門 副課長 藤澤聡子
(株)富士通研究所ソーシャルイノベーション研究所 ソーシャルイノベーション推進室 原田博一さん

―4年目を迎えた「アサヒ ラボ・ガーデン」が、コンセプトをリニューアルした理由を教えてください。

藤澤(以下、敬称略):もともとこの施設は、「食と健康」をテーマとした研究を産学連携で実践する場として2011年の春にオープンしました。その一方で、「年間5万人の来場者を集める」という目標を設定したため、集客効果の高いイベントを開催するようになったのです。その多くは、アサヒグループの商品を紹介する販促企画や他の企業と共同で実施するセミナーなどで、3年目を迎える頃には、もはや活動範囲は「産学連携」という枠に留まらなくなっていました。そこで、現状に合ったコンセプトを新たに作り直すべきではないかと考えたのです。

原田:ちょうどその頃、アサヒグループの知人から、この件についてアドバイスをもらえないか、というお声掛けを頂きました。私は現在、ソーシャルイノベーションに関する研究開発活動をしていますが、活動のベースは、インタビューなど定性調査に基づくコンセプトの作成や関係性のデザインにあります。そこで今回、まずは関係者インタビューから始め、新コンセプトの作成と、それに基づくプログラムの開発と試行をしてみてはどうかと提案しました。

藤澤:それを受けて、経営陣や、大阪の営業関係者やビール工場の関係者、アサヒ ラボ・ガーデンのスタッフや来場者の方など、十数名にインタビューして頂く手配をしました。インタビューには、あえて私は同席しなかったんです。インタビューを受ける方も、担当者である私の前で否定的な意見は言いにくいですよね。ですから、第三者的な立場の原田さんに単独で話を聞いてもらったほうが、率直な意見が引き出せると判断しました。

アサヒグループホールディングス(株) 藤澤

原田:でも実際は、否定的な意見はほとんど出ませんでした。大きくは二つの意見、ひとつは「そもそもアサヒ ラボ・ガーデンのことをよく知らない」というニュートラルな意見、そしてもうひとつは「企業がこれほどのスペースと設備を所有していて、誰もが利用できるなんてすごいよね」というポジティブな意見でした。こうした声を集めて、最終的にアサヒ ラボ・ガーデン中心価値を5つに整理しました。老若男女が集まる「多様性」、使う人によって学びの場になったり休憩の場になったりする「多義性」、大阪の真ん中にあるという「中心性」、企業と一般消費者が触れ合うことができる「直接性」、オープンスペースであるという「公共性」です。

藤澤:アサヒ ラボ・ガーデンの価値を原田さんが明確に言語化してくださったおかげで、私も「この2年間やってきたことは間違っていなかったのだ」と再認識できました。やはり第三者の目線から客観的に調査して頂いて良かったと感じています。

原田:こうして明確化した価値と、社内外の人が期待していることや求められているニーズを踏まえ、アサヒ ラボ・ガーデンを「社会と事業の両方に貢献する企画を生み出して実践する場所」と位置づけました。それが「社会と、育つ。」というコンセプトになったのです。企業が自分たちの成長だけを考えるのではなく、周囲にいる人たちの役に立ちながら、社会と一緒に育っていく場であるという意味を表現しています。

(株)富士通研究所 原田さん

―コンセプトが新しくなったということは、企画やイベントの方向性も変わるということでしょうか。

藤澤:ええ、実はコンセプト作りと並行して、すでに新たなプログラムをいくつか実施しています。ニッカウヰスキーの製品を味わいながら、社会起業家の方たちとサステナビリティ(持続可能性)について語り合うトークイベントもそのひとつ。ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝は、苦労して事業を立ち上げた人物なので、参加者とは起業家精神でつながる部分も多いのではないかと考えて企画しました。これまでウイスキーのイベントと言えば、飲み比べなど販促につながるものが中心でしたが、参加者と企業の間に共通する思いを語り合うことで、ウイスキーそのものの価値も自然に感じてもらえたように思います。「うちの商品は素晴らしいですよ」と企業側の思いを押し付けなくても、結果的に自分たちの事業にプラスの影響が返ってくることがよくわかりました。

原田:このイベントは、アサヒ ラボ・ガーデンでの初回開催から半年後、他企業を会場に開催しました。「サステイナブル」というイベントのコンセプトに通じる事業を展開されていたことから、イベントへの相互メリットを見出すことが出来たのです。このように、コンセプトへの共感を軸に、色々な企業や団体との関係性が生まれ、広がっていく。このような展開は、純粋な自社製品の販促イベントとして開催していた場合、実現が難しかったように思います。

藤澤:そうなると、活動場所も大阪のアサヒ ラボ・ガーデンだけにこだわる必要はなくなります。今後は友好企業のオフィスなどをお借りする機会も増えると思いますね。

原田:私は今回の活動について、2つの「イノベーション」に取り組んでいると考えています。1つは、社会の仕組みを変えていく「ソーシャルイノベーション」。もう1つは、企業や団体が垣根を越えて連携し、新しいものやサービスを生み出していく「オープンイノベーション」。先のウイスキーイベントでの展開は、プロモーションやマーケティング活動領域でオープンイノベーションを実践する、ひとつの形といえるかもしれません。今回の活動を通じて、アサヒ ラボ・ガーデンが、2つのイノベーションを同時に実践できる、貴重な場であることを実感しました。

藤澤:今回のコンセプトリニューアルで、CSR部門とアサヒ ラボ・ガーデンとの違いを明確に示せたのも大きな意義がありました。CSRでは社会性を主としており、最初から中長期的なお付き合いを前提に社会的な活動をしている団体に資金やリソースを提供しますが、私たちの場合、多様なセクターの人たちとまずは短期的なスパンで実験的に共同企画をやってみて、そこから中長期的な関係性を探っていく点が大きく違います。新たなコンセプトに共感し、アサヒグループと一緒に成長したいと考えてくださる方との良い出会いが増えれば嬉しいですね。

原田:NPOなど、特定地域に密着して活動している個人や組織、団体が、企業と協働しようとしたとき、個人的なつながりに依存しているケースが多いように感じています。今後、社会の中にある多様な可能性を企業が受け止めてつながり、そこから新しい価値を創りだしていくような社会変化の方向性において、アサヒ ラボ・ガーデンは、がひとつのモデルケースになるのではないか、と思っています。

企画に携わったラボガーデンのスタッフと原田さん

藤澤:アサヒ ラボ・ガーデンはこの春オープンから丸3年、4年目をむかえました。新コンセプト「社会と、育つ。」のもと、気持ち新たに再スタートします。

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2014.01.06 更新
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