アサヒビールとリクルートライフスタイルがビアマジ!21を開催

[マーケティング]
アサヒビール

2月3日(月)より、21歳の若者を対象に、東京都内100店舗以上の飲食店で1人あたり100杯のビールを無料で提供する「ビアマジ!21」がスタートする。この斬新な企画はどのようにして生まれたのか。アサヒビール(株)と(株)リクルートライフスタイルの担当者に、この企画にかける熱意と意気込みを語ってもらった。

対談者

アサヒビール(株) マーケティング本部マーケティング企画部 担当副部長 火置恭子
(株)リクルートライフスタイル 企画統括室 事業創造部 研究員 青木里美さん

―なぜアサヒビールとリクルートライフスタイルが協働することになったのでしょうか。

火置(以下、敬称略):アサヒビールでは2012年に、若い世代への新たな価値提案を目的とした「若者プロジェクト」を立ち上げました。そして2013年3月に、リクルートライフスタイル社に「一緒に何かやりませんか」とお声をかけたのです。若者の旅行需要を創出する「初TABI」などの企画を手がけていることを知っていましたから。

青木:弊社では、2011年から「雪マジ!19」という、19歳なら指定スキー場のリフト券が無料になるプロジェクトも実施しています。これはスキー・スノーボードなどのスノーアクティビティのエントリー年齢である19歳層を徹底的に優遇することで、将来も含めた需要を創出する企画です。その担当者と「初TABI」を担当していた私とで、ちょうど何か新しいことをやりたいと考えていた時にアサヒビールさんからお話を頂きました。火置さんから「ビールに対する若者需要を盛り上げたい」という思いを聞き、ビールに対する若年層の飲用状況を調査してみると、ビールは飲み慣れることでいつの間にか美味しく感じるケースが多い飲み物。という事実が分かりました。それなら「雪マジ!19」のように、ビールのエントリー年代だけビールを無料にし、飲み慣れる機会を作り出すことで、若者がビールの「本当の美味しさ」にもっと気付く機会を生み出す方法がいいのではと考えたのです。

アサヒビール火置

―企画の提案を受けて、どんな感想を持ちましたか。

火置:「うちでは無理です!」というのが私の第一声でした(笑)。メーカーが自社製品を無料で提供するのは、業界全体への影響も大きく、非常にハードルが高いのです。それにアサヒビールはマスマーケティングで成長してきた会社ですから、対象年齢を限定することにも抵抗がありました。ただ、青木さんたちが若年層を対象に1歳刻みで調査をしたら、21歳が最もビールへの関心や感受性が強く、ビールをおいしいと感じ始めた最初の年齢だとわかったんです。私たちは「20代」というくくりの調査はしても、1歳ごとにデータをとるという発想がなかったので、この結果は興味深いものでした。

青木:人は「つらい」「うれしい」といった感情の起伏があった時にビールを飲むとおいしく感じるそうです。21歳と言えば、社会人になったばかりの人や就職活動を始めた大学生が多く、仕事や採用試験を通して様々な感情の起伏を経験する年齢なので、ここをターゲットにすべきだろうと。それに対象年齢を絞らないと、いま動く必要性が感じられなくなってしまう。22歳や23歳でも無料なら、「来年でもいいや」と思ってしまいますよね。アクションにつなげるためにも、年齢は限定したほうが効果的です。

火置:実は私たちも、対象年齢を限定した商品を企画したことがあるのですが、コストや採算性の面からも課題が多く、実現はできませんでした。それがなぜ、「ビアマジ!21」は企画が通ったかというと、リクルートライフスタイルさんとの協働だから。特に「雪マジ!19」の成功実績や1歳刻みのデータは、社内を説得するための強力な材料になりました。アサヒビール一社だけでは絶対に実現できなかった企画だと思います。何より青木さんたちのすごいところは、いいと思ったことは全部やってしまうこと。弊社のメンバーも影響されて、最初は提案を受けるたびに「それは無理です」と言っていたのが、最近では「やってみましょう!」という前向きな姿勢に変わってきたんですよ。

青木:今回は私たちも勉強になりました。従来の企画は弊社にすべて任せてもらう形が多く、「雪マジ!19」も全国のスノーエリアを回り、参加ゲレンデを募る説明会実施から手がけました。だから「何でも自分たちでやる」という意識が強い代わりに、「自分たちがやれることしか出来ない」という面もあったかもしれません。でも今回は、飲食店の募集や各店への説明をアサヒビールさんの営業部隊が率先して担ってくださいました。目印の提灯や店内ポスター3種、マナー啓発コースター、メッセージボード、これら飲食店さん向けのビアマジツールはアサヒビールさんの営業部隊がいなければ、弊社だけでは考えつかなかったと思います。この企画は21歳世代の興味を示してくれる層をいかに集められるか、21歳世代が訪れる対象飲食店さんをどれだけ沢山バラエティに富んだ形態で集められるか、という2側面がバランスよく成立しないと成功しません。今回のビアマジ!21はこの側面を両社がそれぞれ責任を持って担当したことで「お互いがいないとこの企画は成り立たない」という信頼関係が生まれたと思います。

リクルートライフスタイル青木様

―若者たちには、「ビアマジ!21」をどのように楽しんでもらいたいですか。

火置:今回は大衆居酒屋から各国料理店、バーまで、バリエーションに富んだ飲食店が参加しています。ぜひ色んなお店を回って、様々な食の世界を体験して頂きたいですね。そして酒場には、店主やスタッフ、常連客など、多くの人との出会いやコミュニケーションもあります。就職活動で精神的にも不安になることもあると思いますが、友人とお互いを励ましあったり、あるいは酒場にある美味しい料理やお店の人から元気をもらうこともあるかもしれません。ビアマジを通じて、酒場にはたくさんの楽しみ方があるということを知ってもらえればと思います。

青木:先程もお話ししましたが、ビールは飲み慣れるとおいしくなるものなんです。100杯にこだわったのも、「それだけ飲めば、さすがに好きになるだろう」と思ったから(笑)。若者に訴求するには、例えば苦味の少ないビールを開発するなど「ビールを若者に近づける」というやり方もありますが、私たちとしては、今あるビールのおいしさに気づいてもらうことを目指しています。

ビアマジ21企画スタッフ

火置:今回の展開エリアは、「神田・神保町」「新橋・有楽町」「東京駅周辺」という学生があまり行かない街をあえて選びました。サラリーマンたちに混じって若者同士がお酒を飲みながら、大人としての新たな楽しみを見つけてくれる姿を、私たちとしてもぜひ見てみたい。

青木:その人たちが社会人になった時、酒場にまた来てくれるといいですよね。

火置:「ビアマジ!21」卒業生が、次のビアマジ世代を連れて飲みに行ったりね。そうやって酒場文化を継承していくきっかけになれば本当に嬉しいです。

火置、青木様のツーショット